1997年9月23日。小雨まじりの曇り空。上野11:30発「あさま13号」長野行は11両編成で16番線から出発。17番線の常磐線特急「ひたち」と同時発車である。日暮里で「ひたち」と別れ、赤羽を過ぎて荒川を渡る。新幹線の巨大な高架が左手に見えてくると大宮に停車。ようやく郊外の雰囲気になる。熊谷・本庄にも停車する。新幹線の高架をくぐって高崎に停車。側線には錆びた旧型客車が留置されてあった。次の停車駅は横川(よこかわ)。電車はいっきに加速して山峡に入っていく。横川では、後押しのEF63を連結するため4分停車。「峠の釜飯」を買いに降りる。いよいよ最急勾配66.7パーミルの碓氷峠越えにさしかかる。列車は重厚な走行音を響かせてゆっくりと高度を稼いでいく。最後のトンネルを抜けると軽井沢。
10月1日に廃止される信越本線横川−軽井沢間と特急「あさま」を惜しんで、多くのファンがつめかけている。横川駅や軽井沢駅では、EF63の連結・解結作業をカメラに収めようとホームの端に人だかりができ、事故を防ぐためにロープが張られるしまつ。「あさま」の最後の雄姿を撮ろうと線路脇に立ってカメラを構える人や、トンネルとトンネルの間のどう見ても入れそうにないところに三脚を据えている人までいた。軽井沢を出るとあたりはようやく平静をとりもどし、高原の風景の中を小諸に停車。開業間近な北陸新幹線の高架が右手に近づいてくると上田。在来線の道床にも新しいバラストがまかれ化粧直しといったところ。千曲川を渡り篠ノ井に停車。犀川を渡り14:22終点の長野に到着。長野駅周辺には「長野は東京だ!」というヘンなポスターがやたらと貼ってあった。長野の街は冬季オリンピックと北陸新幹線開業を間近にしてわきたっていた。