2008年8月15日。晴一時驟雨。岡山7:05発の「やくも1号」に乗車し、出雲大社の本殿特別拝観のために出雲市をめざす。出雲大社では60年毎に本殿の屋根の葺き替えなどの修築が行われ、ご神体が拝殿に遷座される。今年がその年にあたっており、ご神体がお留守の本殿が史上初めて一般に公開されることになったのである。振り子式電車特急に3時間5分揺られて、10:10に終点の出雲市着。一畑電鉄10:15発の松江しんじ湖温泉行きに乗らねばならない。JR出雲市駅につづいて一畑電鉄出雲市駅も高架化されたので、JRの階段を下りて、300メートルほどダッシュし、一畑の切符を買って、また階段を上る。息も絶え絶えで一畑電車に乗り込み、川跡(かわと)10:24着。ここで10:26発の出雲大社前行きに乗り換えて、10:37に出雲大社前駅に到着。
次があるとしても60年後という本殿拝観のチャンスということで、ゴールデンウイーク中の拝観期間には2、3時間待ちの列ができたという。7・8月の拝観期間には、並ばなくてもよいように朝9時から整理券が配布されるようになったが、早い時間でなくなってしまうこともあるというので残っているかどうかが心配であった。幸いに4時半からの整理券がまだ配布中だった。配布場には服装の決まりについての注意書がある。Tシャツやジーパン、半ズボンや裸足もダメである。拝観まで5時間以上あるので、とりあえず昼食をとることにする。『荒木屋』に向かうと店の前に人だかりがしている。さらに先の『かねや』にも行列ができていたが、こちらの方に並んだ。割り子そばを注文し、冷たいとろろそばも追加した。
まだ4時間ほど時間があるので、近くの県立古代出雲歴史博物館に行ってみる。係員は親切で丁寧。常設展示は、発掘された古代出雲の文化財を中心に、近代までの出雲の生活・文化にまつわる多くの物品の展示がある。また、子供も楽しめるような工夫も凝らされている。特に目を引いたのは、引退した一畑電鉄デハ23の先頭部。撮影は禁止だが、中に入ることができる。運転室の窓がスクリーンになっていて運転席からの出雲大社線の景色のビデオ映像が音響と共に迫ってくる。運転席に座りたかったが子供が座っていたので、後ろの位置から見た。画面が動き出すととてもリアルで実際に動いている電車に乗っているような感じである。
3時過ぎに博物館を出て、出雲大社に戻る。御手洗(みたらし)で手と口を清め、まず仮の本殿になっている御仮殿に参拝する。出雲大社は、2礼4拍1礼が決まり。他の神社は2拍だが、出雲大社と宇佐八幡宮が4拍なのにはなにか深いわけがありそうだ。そのあと、素戔嗚尊を祀る素鵞社をはじめ境内の摂社を一巡りし、いよいよ拝観時間が近づいてくる。時間が来ると、同じ時間帯の整理券を持っている人が呼ばれ、テントの下の控え席に導かれて、注意事項の説明を聞く。その後、整理券を渡して拝観の栞をもらい、八足門を通って瑞垣内に入り、楼門を通ってふだんは神職以外は入れない玉垣内に入る。そこでクツを脱いでから、40人毎のグループになって本殿正面の階段をのぼり、本殿の縁を左回りでゆっくりと一周する。右回りでまわるのが普通だが、しめ縄の綯い方が逆の出雲大社では左回りなのだという。ようやく本殿正面に戻り、一同が座る。神職から手短かな解説があり、右手の扉口から本殿内を拝観した。有名な八雲の絵の天井画は、まるで昨日描かれたかのように色鮮やかであった。